BABYMETALは商業主義の偽者なのか

BABYMETALは商業主義の偽者なのか

強烈なタイトルになってしまったのだが、各方面から出ている批判的な意見の中で、目にする機会が非常に多かった事と言えば「BABYMETALは商業的な偽者である」という意見。
音楽シーンを語るうえでは必ずつきまとってくる永遠のテーマとも言えるのが「商業主義であるか否か」ということ。とにかく、BABYMETALは異質であること、バンドというわけでもない、メタル・ミュージックでもない。(BABYMETALというニュージャンルであることから)
ただし、一般的にはメタルと捉えられることが多いため、メタル界隈のファン層からは、様々な批判的な意見も出てくる。中には差別的なものもあるが、今回は「商業主義」という点に重きをおいて話をできればと思っています。

予め言っておけば、批判的な意見があるとはいえ、日本だけでなく、世界中で、話題として取り上げられることは凄い事だし、賛否両論あって然るべきなので、例え「I hate Babymetal!」と言われたとして、好きで聴いている人間からすれば、最終的にはどうでも良い事なのである。
ただ、それだとこの話は既にここで終わってしまいますので、いったん伏せておくことにしておきます。

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◆造られたバンドだから

「曲は好きなのだがどうしても好きになれない」と語る人の中には、「BABYMETALがManufacture(作られた)なバンドだから」という理由で好きになりきれないと理由をあげる人が国内外問わず、いるようです。
確かに、「バンド」という視点で捉えてしまうと、「自分たちで楽曲を作らない」、「演奏しない」、「与えられているだけ」という風に感じてしまったら、それは受け入れられないものなのかもしれない。

ただし、バンドやアーティストの背景などを無視して、音楽的な側面だけで考えれば、造られたものかどうかなどというのはあまり意味のないことで、自分にとって「好きな曲」か「そうでない」かの2点になるはずだ。

自分たちで、全ての楽曲を製作し、自分たちが作ったものを、人々に聴いてもらいたい、または、音楽を通じてメッセージを伝えたいと言った事は、もちろん素晴らしいことですが、でもそれについては「造られたもの」が駄目だという考えには直接はつながらない。
自分たちで曲を作ろうと、演奏しようと、二番煎じのような量産型のようなバンドやグループはたくさんいるし、逆に造られたものであろうが、しっかりとコンセプトを持ち、造り手や、アーティストたちが1つとなって素晴らしい作品を作っている場合もある。
なので、楽曲そのものの良し悪しは、自分の好みの問題もあるが、「造られたもの」であるかはどうかは、本当は関係はないのである。「良いものは良い」という考え方だ。

単純に、形態だけの話で言えば、BABYMETALはまさしく「造られたもの」で間違いない。
ただ、楽曲製作は、KOBAMETALを中心として、プロの人間たちが相当な時間をかけて1曲1曲を製作している、それは、楽曲発表のスパンの長さからも十分に伺える。
また、音源に関しては、完成ギリギリまでアレンジを練り続けるために、直前でも変更できるよう、ドラムに打ち込みを採用したりするなど、様々な形で、楽曲製作へのこだわりがあるそうです。
それでいて、KOBAMETAL等によって生み出されたそれらの楽曲の歌詞の持つ意味や、コンセプトなどについて全てをSU-、YUI、MOAの3人に伝えているわけではなく、本人たちの自由にさせることで、3人のキャラクターを生かしているという。
それは楽曲以外にもいえることで、トレードマークとなっている、キツネサインは、3人がメロイックサインを影絵のキツネのように遊び始めたところから取り入れたり、振り付けについても、3人の個性などが多く反映されているそうです。

BABYMETALそのものが、SU-METALこと、中元すず香の存在なしには企画されていなかったこと、3人のアイデアにも非常に重点を置いていることからも、ただ造られただけのものではないと言える。

それに加え、神バンドを本格的に導入したことによって、ライブにおいては、歌と踊りをサポートする形で、圧倒的なライブ感を出すことにも成功している。
「それなりのもの」を作るのならば、全てにおいてそれなりでいいのだが、BABYMETALは全ての部分で妥協しておらず、一流のプロが本気で情熱を持って取り組んでいるプロジェクトなのだ。
そこまで徹底してやっているものならば、例え「造られたもの」であろうが、安易に「造られたものだから」と否定されるべきものではないとのではと思います。

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◆商業的であるか

ロックの世界では、バンドたちのライフスタイルや、主義、主張などが楽曲や、活動に色濃く反映される事が多く、そういったところに「造られたもの」が受け入れられないという土壌ができているのかもしれない。「アンチ商業主義」といった考え方も、やはりそういう部分から出てくるのかもしれない。

BABYMETALは、商業主義なアーティストなのか。
Metal HammerのDom Lawson氏がYoutubeで「儲けるために作るならメタルなんてやらない」と語っていましたが、私自身もそのように感じます。本当に儲けるためだけにやるのなら、もっと万人受けする路線を選んでいて不思議ではないからです。

音楽は利益優先であってはならない、商業的であると、いかにメッセージ性を持っていても、リアリティーを感じない、そう考える人もいるのかもしれないが、それを生業としてやっていくのならば、お金を生まなければ生活はおろか、音楽活動を続けていくこともままならない。メジャーであることに限らず、どんなバンドであれ、少なからず「儲ける」ことは必要なのであって、利益の大小はあるが、お金を生み出すことに変わりはない。本当に、お金を生まないことを望むならば、それに対して様々な努力を個人レベルで継続していくほかないのだが、そういった事を続けていけるアーティストは全体から見れば少ないでしょう。
ただ、それをするかしないかは、それぞれが決めれば良いことなので、何が正解と決め付ける事はできないでしょう。

メジャーなレコード会社とサインすることは、自分たちのプライドを捨て、魂を売るかのように言われることもあるが、それはアーティスト次第だと感じる。
インディーズレーベルでは到底敵わない流通網や、宣伝力、これらのメリットをおおいに利用して、自分たちの音楽を幅広く伝えているアーティストは実際にたくさんいる。メリット、デメリットを踏まえた上で、自分たちの活動に必要なものを得られればいいし、自分たちのクリエイティブな部分にコントロールがきかなくなると思うのなら、レコード会社とサインしなければいいし、他にレコード会社を探すか、インディーズに留まることも選択肢としてあるはず。
メジャーのレコード会社と契約をしていたが、その後インディーズに戻るというアーティストやバンドもたくさんいる。それは売れなくなったからという理由だけでなく、自分たちの造りたいものが造れなくなったり、思うように活動できなくなったりしてしまったという理由もあるでしょう。。ただ、必ずしもメジャーへいったからといって、全てが駄目になるわけではない、レコード会社と良好な関係を築き、素晴らしい作品をドロップし続けるアーティストもたくさんいるのだから。
あの、セックスピストルズもマルコム・マクラーレンによって、いわば「造られた」バンドだし、大手のレコード会社とサインし、とても商業的に成功をおさめたバンドといって良いと思う。その成功がのちのパンク・ムーヴメントを作り出したことからも、その功績はもの凄いものだろう。

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今の時代なら、ネットというツールを利用して、誰もが情報を発信したり、情報を簡単に入手する事ができる。そういう意味では昔に比べれば、インディーズの世界でも、自分たちを宣伝するという問題に関しては、クリアされていると言ってもいいのかもしれない。CDがお店に並ばなくとも、ネットなどを使って、いろいろな人が音源を手にする事ができるようになっていると思います。
ですが、やはり流通、資金力という部分では、インディーズよりもメジャーのほうが現状でも遥かに優れていて、より多くの人がCDなどのパッケージを手にとることが出来る。どれだけの情熱や熱意を持っていたとしても、それを広めていく能力がなければ、多くの人に聞いてもらえるチャンスは限りなく少なくなっていく。ともすれば、大きな流通網を活かせる事は、造り手としては非常に大きな戦略となる。

バンに楽器を詰め込み、全国津々浦々をめぐり、ライブを勢力的に行う。しかし、それを行うには、お金もかかれば、時間も要する。
もちろん、たとえ儲からないとしても、それをよしとして自分たちのやれる事をやれる限りにやる人たちもいるだろう、それはそれで素晴らしいことだと思う。
イアン・マッケイ(Fugazi,Minor Threat)のように、DIY精神で、レーベルを立ち上げ、バンド、マネージメントなど、その一切をコントロール、まさにメジャーとは対極の位置に存在するミュージシャンもいるのだ。こういった活動は、アンダーグラウンド、インディーズ・シーンに大きな影響を与えたし、礎となっているでしょう。

一方では、大きなサポートをバックに、とにかく自分たちの実現したいことを、大胆にチャレンジする。利用できるものは何でも利用する。そういった考え方もあるのだ。

BABYMETALに関しては、「メタルとアイドルの融合」をコンセプトに、新しいスタイルのヘビーメタルを、世界中に広め、ひいてはメタル・シーンの再興に繋げたい、そういった大きなメッセージを伝えていくには、草の根の努力だけではなく、より大きくアピールするだけの宣伝力、流通網が必要なのだ。
何十年とかけて、ゆっくりとメッセージを伝え、シーンを変えていくなら、地道に活動をするのもいいかも知れないが、BABYMETALは何十年とやるユニットではないし、そういうわけにはいかない。50年後も由結ちゃんは天使なのは変わりないと思うのですが、その話はまた別の機会にさせてもらいます。

個人的な見解としては、BABYMETALは、商業的な側面は持ち合わせているかもしれないが、商業主義、儲け第一ではないと思います。もし、BABYMETALが商業主義なアーティストであれば、今頃はシングルCDを量産し、アイドルを酷使し、金を巻き上げているでしょう。さらにいえば、握手会などを行い、CDのセールスも飛躍的に伸ばしているかもしれません。メディアの露出については別の問題もあり、少ないのかもしれませんが、売るために何でもするのであれば、そういったメディア露出するような活動も目に見えてたくさんあることでしょう。
ただ儲けるためだけに、メタルというジャンルを食い物にしているのなら、SU、YUI、MOAの3人が1からメタルを勉強する必要だって、どこにもありません。でも、彼女たちは少しずつメタルの知識を学び、成長している。
運営の面においても、そう感じさせる部分があります。ロンドンの最初の公演では、初期段階で400~500人を想定していたが、現地のプロモーターから「1000人規模でやれる」と言われて、エレクトリック・ボールルームでの公演が決定したそうですが、それがわずか1日でソールドアウト。プロモーターサイドから「2500人の会場に移動するべき」と打診された際も、KOBAMETALは、それは無理だろうと思っていたそうです。しかし、結果的にはフォーラムに会場を移動したが、それもソールドアウトとなった。
それから、普段のライブで私自身も体感していることですが、物販など公式グッズがあっという間に売り切れとなる状況で、明らかに需要に対して供給のバランスが取れていない。
こういった慎重な姿勢からも、商業主義的にやっているとはとても考えられないのである。
売れなくなる前ににドカンとやって、売れなくなったらおしまいという考えではなく、しっかりと次の展開を考えながら、1つずつ前進しているのがわかりますし、推測ですが、色々と大人の事情を挟みながらもバランスよく展開できているんじゃないかなと思います。

※この記事を書いてる間に、駅の広告の話や、ユニカヴィジョンでのライブ映像放映の話などが出てきたりして少し「おっ」と思ったわけなんですが(笑)

べびめたちゃん4

色々と書きましたが、こういった側面はシーンを考えるときにはやっぱり話題としてあがってくるものだとは思いますが、純粋に音楽を楽しむという事なら、こういった事に左右されず、自分の気に入った音楽を楽しめることが一番だと思います。
その意味で、私は今120%BABYMETALを楽しめているので、この後の事も気になりますが、すべてキツネ様におまかせしようと思います。長々と読んでくれた方、ありがとうございました。

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2 Comments

  1. CERAMIC-METAL

    CERAMIC-METAL

    2014年10月22日 at 1:14 PM

    素晴らしい記事です 激しく同意します ええ この記事は別格掲載して欲しいDEATH!
    なにより
    最後の画像 これが全てを物語っていますよね
    私は、いつも「BABYMETALは商業的な本物である」と説明するようにしています(^_^)

    Reply

  2. ぶうたんのDIET

    2014年10月22日 at 5:11 PM

    分析、解説、どれをとっても素晴らしいです。
    良く観察してらっしゃると思います。
    私も、BABYMETALは慎重に行動してると思います。
    商業目的ではなく、将来的に続けていくために。
    商業目的なら、CDどかどか出して、TV出まくって、LIVEもしまくって、ッて感じになると思います。
    実際そうじゃない。
    慎重に慎重に行われていると思います。
    今や世界メディアでは注目されていますが、私もジャンルは、ニュージャンル「BABYMETAL」だと思います。
    それ以外に言いようが無いと思います。
    これからも長く続いて貰える様に見守っていきたいと思います。

    Reply

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