支える世代

メタル音楽は筆者のようにおバカな労働者階級のものと勝手に思っていたがそんなカテゴライズよりも的確なのは、メタル音楽は中高年のものであるというのはいいすぎだろうか。ブームというかムーブメントに乗った有名と言われるメタルバンドのメンバーの年齢50歳を軒並み超えている。例えば、メタリカのカークが52歳、スレイヤーのトムアラヤが53歳、アイアンメイデンのスティーブハリスは58歳などである。もちろん若者にもメタル音楽は浸透しており、欧州のメタルフェスを見れば幅広い層がきているようであるが、年齢が30歳を越えている層が占めているのはまちがいない。ラウドネスの例を挙げるまでもなく、日本でも同じ傾向だろう。伊藤正則、まだ生きていたのか、と。

LOUDNESSスペシャル・ライブで考えた演歌化する社会 高齢化社会とヘビメタ(常見 陽平)

http://www.yo-hey.com/archives/54848827.html

往々にして、長生きしているバンドは耐用年数が長い曲を持っている傾向が多い。代表曲それだけっていうバンドも多いくらいだ。何年経っても色褪せない曲があり、お決まりのフレーズがあり、枯渇しそうでしない曲のアイディアがあるから、活動出来ているとも言える。大量に一瞬に消費されるタイプの音楽は完全に使い捨てである。以前、漫才師のツッコミが稀代のヒットメーカーと組み、世に出した歌がヒットしたことがあったが、カラオケで聞くことはあっても、未だに愛聴している人はいないだろう。曲の持つ魅力の耐用年数が長ければ長いほど、バンドもファンも同時に高年齢化していく構図が容易に想像できる。耐用年数が長いとそれがベタになり、ネタになる。メタル音楽の構成はベタでネタだ。

一方、アイドルでは、群雄割拠とか戦国時代とか言われている現状がある。

http://matome.naver.jp/odai/2132758860147400801

筆者が子供の頃、アイドルを追うのは、若者であるというのが相場であったし、その対象は多くの場合、ピンソロであり、多くて5~7人組程度であった。個々のレベルが高かったことの裏返しかもしれない。

明星と平凡。

https://www.google.co.jp/search?q=%E6%98%8E%E6%98%9F+%E9%9B%91%E8%AA%8C&biw=1280&bih=662&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=bZNMVIyGOpeD8gWEo4DgCA&sqi=2&ved=0CAYQ_AUoAQ

https://www.google.co.jp/search?q=%E6%98%8E%E6%98%9F+%E9%9B%91%E8%AA%8C&biw=1280&bih=662&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=bZNMVIyGOpeD8gWEo4DgCA&sqi=2&ved=0CAYQ_AUoAQ#tbm=isch&q=%E5%B9%B3%E5%87%A1+%E9%9B%91%E8%AA%8C

 

時が経ち、グループアイドル全盛である現在では、複数のメンバー中から原石を探し、自分だけの推しを見つけるという先見性としての優越感や、CDを購入することで、直接接触することができる握手会の存在、それによる育てる感があるようだ。これらは以前にはなかったものだろう。また、ファンは彼女にするなら誰がいいか(最近は~は俺の嫁。という妄言がある。よくわかる。)と妄想を掻き立てられるネタであった

アイドル産業-その経済特性と社会制度、分析と政策-境  真 良

http://www.ppp.am/p-project/japanese/paper/sakai-paper.pdf

中高年の幼稚化が進んでいるのか、中高年にも耐えられるマーケティングの結果なのか不知だが、ライブ会場などにおけるアイドルの現場では、中高年の男性が結構な割合を占め、グッズを買う姿が眼に浮かぶ。実際、ももクロのコンサートに行くと同年代が結構いた。年齢が低い時は恋愛対象であった偶像が、家庭を持つようになると子育てと似た感覚で育成すると思い込むゲーム感覚になっていることも無視できまい。恋愛対象のままという人も大多数いるだろう。容姿や歌唱力といった能力よりも、そのグループが経験してきた物語性や、キャラクターが重視される風潮はその現れかもしれない。ジャニーズを追いかけ続ける女性FANの高年齢化ももちろん存在する。SMAPはメンバーが40歳代が多く、親子2代で応援というのも少なくないそうだ。

ジャニーズファンの思考 (徳田 真帆)

http://anthropology.soc.hit-u.ac.jp/journal/2010/tokuda3.pdf

先に挙げたメタルとアイドルという極端な両輪を回しているBABYMETALであるが、このページをチェックし、投稿している多くが男性の3040代であることはプロフィールや文脈から何とく察しがつく。筆者もそのまま当てはまる。仕事机には自分の子供の写真とBABYMETALの写真を両方入れるようになってしまった。思いっきりメーターを振り切っている「ヘドバン」という熱すぎる音楽雑誌はBABYMETALとX JAPANを推しているが、書き手も読み手も世代が重なっている印象を受ける。ロンドンライブでのファンの集いの写真をみてもさまざまな人がいるが、総じて中年に属する人が多い。BABYMETALのライブにおける紙芝居やステージセットで採用するネタは、明らかに昔からメタルを聞いている層に対しべたである。ライブ会場でのBGMも徹底しているそうだ。一方でそれをネタと知らずにそのままガチで受け止める年齢層も存在するだろう。長生きしているバンドのようにBABYMETALには、既に耐用年数が長い曲が生まれているのかもしれないが、なにしろ持ち曲が少ない。メタルでは、4年ぶりのニューアルバムなんて珍しいことではないから、もしかしたら次がないのかもしれない。「かわいい」といわれるのは、得てして年齢が低く、刹那的で儚いから、いつ終わりの刻なのかというハラハラ感があるそんな中、飛び込んできた良いニュース、ロンドンBrixton Academy でのライブで初お披露目の曲は、特定の集団のシンボルとしての賛歌、アンセムになり得る。Judas Priest THE HELLION風のイントロ + Dragonforceのリフメロ+シンガロングの曲調なんてもう、泣くしかない。泣いてしまう。泣かざるを得ない。

BABYMETAL、ロンドンでワールドツアー完遂&“第三章”への布石となる新曲も(ナタリー)

http://natalie.mu/music/news/130842

http://www.reddit.com/r/BABYMETAL/をみればよく判るが、BABYMETAL情報が少なく、関連情報があがると一斉に拡散する。「昨日からリハーサル始まりました!」とブログで逐一報告する芸能人とは違い、公式のtwitterfacebookもFANサイトも更新されず、情報に「飢えている」状態にFANは嵌っている。情報過多では飽きられるスピードも速いから、新曲や情報は待っておけ、今の曲を聞き込み、いつでも受け止められる状態にいろと言わんばかりの戦略であろう

外国のFANは更に大変だ。1億人しか使用しない日本語の壁は高すぎる。情報が少ないから妄想が膨らみ、動画で感激、生ライブで撃沈する。そして語られる。BABYMETALは中高年でメタルに興味があり(過去にあった)、昔のアイドルを見てきた両方の層にストレートに入ってくる存在で、誰かと語りたい、感動を共有したくなるようなグループなのだろう。またメタルを聞きなおしているという声が出てくるニッチというべき存在だ。当然ながら、これまでメタルだけだった人、アイドルだけだった人もこんなエンターティメントの未来形があるのかという意見も多分にあるはずだ。

今後、 国籍、性別を問わず多くの人の目に触れ、認識されることに興味がないわけではない。3人のかわいさは突出していると思うのでテレビ受けはいいはずだし、オーラも凄いらしい。

BABYMETAL 単独 インタビュー

http://ameblo.jp/matenrounikki/entry-11948815364.html

が、誰もが好んで聞くタイプの音楽ではなく、儲け度外視のわが道をいくマイノリティージャンルであるメタル音楽で頻繁にメディアに出演することは考えにくい。企業側も「DEATH」と叫ぶ女の子をCMで積極的に採用しないだろう(googleで風向きが変化してきた?)

gogle babymetal

しかしながら、そんなことはどうでもいい。ジャンルとかさえも。確かにオンリーワンになりつつある。筆者も周りに熱弁をふるっているせいか、BABYMETALがニュースになると教えてくれる知人が増えてきた。もちろん、その件はもう知っているとは言わない。教えてくれてありがとう、だ。BABYMETALにやられたら、熱中する人の気持ち悪さを認識しつつ、伸び代に期待し、動画サイト、音源、映像円盤、ライブ、文章、SNS、当サイトで、「かわいい」と叫び、頭を振り、歌声で泣けばいいだけだ。素晴らしいshowを絶賛し続け、海外や日本の熱いメタルハートを持つ世代が支えるBABYMETALが、エンターテイメントを征服していることを期待している。

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One Comment

  1. Nappa

    2014年11月15日 at 9:25 PM

    記事ありがとうございます。
    なるほど、色々なアプローチがあるんですね。

    で、私が思うのは、「結局、ホンモノは、世代も国も越えて貫く」という事ですかね。

    例えば「目的はファンのために歌うこと」みたいなスタンスってありますよね。でも、そう考えた時点で、もう存在する意味は失われている。後に残るのはビジネスとしての予定調和だけ。あまりに資本主義的なアプローチで開き直られてもつらい。
    「ホンモノ」は、その点で決定的に違うと思うのですよ。例えばBABYMETALは。
    ホンモノの「表現」と「コミュニケーション」がある。私はそう思うのです。
    本当に、近い将来「BABYMETALがエンターテインメントを征服」していることを期待します。

    Reply

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