「COUNTDOWN JAPAN 15/16」 ライブ観戦レポート

「COUNTDOWN JAPAN 15/16」 ライブ観戦レポート

 

1.

「ほら、先輩。ぐずぐずしてないで早く会社を出ますよ」

「わかってる。もう少し待って」

「もう! miwaに間に合わなくなったらどう責任を取るんですか」

「んーそうだな、そのときは代わりに美輪明宏のモノマネでもやってあげるよ」

 

年の瀬も押し迫った12月28日。
その日は仕事納めだった。
しかし僕とK山くんは朝から所内の大掃除を済ませると、
事前に早退することは告げていたので昼過ぎには揃って会社を出る準備をしていた。
向かう先はもちろん幕張メッセだ。

 

同会場では今日から「COUNTDOWN JAPAN 15/16」が開催される。
そして数日前からK山くんはそれを楽しみにしていたのだった。
なぜならBABYMETAL以外にmiwaやきゃりーぱみゅぱみゅのステージを観れるからだ。
基本的に彼はメインストリームの音楽を好んでよく聴いている。

 

しかしBABYMETAL以外に特別観たいアーティストが今回はこれといってない
(Crossfaithが12時開演でなければ観にいっている)僕からすれば、
そんなに急がなくてもいいじゃないかという思いだった。
だから会社を出る準備もゆったりしたものだった。
BABYMETALの開演時刻は夕方の17時。
幕張には1時間ほどで着くからそんなに慌てる必要はない。

 

しかしそんな僕の悠長さは、少しでも急ぎたいK山くんには腹立たしかったようだ。
彼は「モノマネってまさか歌マネじゃないですよね?」と眉を顰めると、
「歌わなくてもいいです。先輩のカラオケはもううんざりなんです」と続けて言った。

 

「それではみなさん、よいお年を~」
準備を終え、そそくさと会社を出ながら僕は首を傾げる。
腑に落ちない点があったからだ。
うんざり!? なんでうんざりなんだ。
歩きながら僕はやや感情的になって後輩に言葉を浴びせた。
「うんざりとは聞き捨てならないな。いったいどういうことなのさ」

 

口調は強いが他意はなかった。
スルーしたって構わない内容だったからだ。
しかしその後に返ってきた後輩の言葉に僕は言葉を失ってしまう。
「だって先輩、2曲続けて唄ったでしょ?」
K山くんは眉間を寄せたまま矢継ぎ早に言葉を繋いだ。
「たとえ一度でも、あれはないです。ジャイアンの歌謡ショーじゃないんですから」

 

僕は押し黙って後輩から視線を外す。
彼は少し前の飲み会のことを言っている。
友人・知人10名ほどでカラオケ店に行った時のことだ。
思い当る節がある僕は、しばし無言で思考を巡らせた。

 

僕だってわかってるんだ。
二度漬け禁止の串揚げと同じくらい、カラオケで続けて唄うのがタブーであることくらい。
だけど……、だけど一度それをやったからってなにも「ジャイアンのようだ」はないだろう。
次第に怒りが沸々と湧いてきた僕は、奥歯を噛んで心の奥底で呪詛を吐いた。

 

ぐぬぬ……、言うに事欠いてまるでジャイアンのようだとぉ!?
いったい僕のどこがジャイアンっていうのさ。性格も体格もまるで違うじゃないか。
それなのにこの僕をジャイアン呼ばわりしやがって。
くっそー、今に見てろ。
そのうちおまえなんかギタギタのメロメロのボロボロにしてやるからなっ!

※ちなみに2曲続けて歌った曲は「fantastic 3」(HOME MADE 家族 feat. SEAMO)と
「ルパン・ザ・ファイヤー」(SEAMO)で、ともにヘドバンしながら歌った。
聴いている方はさぞかしウザうるさかったと思う。

 

 

やがて駅に着き、乗車する。
その間、僕は心を落ち着かせようとする。
今年最後のBABYMETALのライブをもうすぐ観れるのだ。
後輩の言葉にいちいち過剰に反応すべきではない。
僕は気持ちを切り替え、幕張海浜駅まで電車に揺られる。
「今日さ、帰りに上野の○○に寄っていかない?」
途中にふと提案したところ、K山くんはすんなりと受け入れてくれた。
「いいですね。あそこの手羽先、大好物なんで」

 

 

モアイ像

 

やがて最寄駅に着き、揃ってホール11に向かう。
中に入り、チケットとリストバンドを交換する。
クロークや物販エリアは素通りし、そのまま奥へ。
ホール8付近のコインロッカー(300円)に2人分の荷物を預ける。
クロークは一人1,000円だったのでかなりお特だ。

 

それから、K山くんとはそこで別れることに。
彼はmiwaを観るためにまっすぐメインステージである「EARTH STAGE」へ向かった。
僕はイベントホールへ移動しようとするが、
ふとTLで確認していた、2年前のBABYMETALのサインを見るために少しばかり寄り道をする。
記念にそれをカメラに収めてから、改めてイベントホールへ。
そこではちょうどヒステリック・パニックのステージが始まろうとしていた。
アリーナ後方からしばらくの間、彼らのラウドな音楽を堪能する。
ラストの「人生ゲーム」では周りに合わせて僕はジャンプを繰り返した。

 

モアイ像

 

 

その後、藍井エイルの1曲目「INNOCENCE」のみを聴いてから場所を移動。
ヴォーカルの声の抜けが悪く(元からそういう歌い方・声質なのかもしれないが)、
残念ながら長い時間聴きたいとは思わなかった。
ぶらぶらとラウド系の音楽を求めてホールをさまよう。
GALAXY STAGEへ辿り着き、04 Limited Sazabysを最初から観る。
そこではかなり多くの若者たちが自由に楽しげに踊っていた。
ツーステップを踏んでいる若い男女もかなりいる。
おそらく客の半数以上は10代だったのではないだろうか。
僕は彼らの中に混じり、年甲斐もなく何曲も踊り続けた。

 

 

モアイ像

 

少しばかりサンフジンズを観て、それからEARTH STAGEへ移動する。
ちょうどきゃりーぱみゅぱみゅがラストの曲を唄っているところだった。
「この曲、パンプキンパレードじゃないよね?」などと思いながら、
人と人の合間を縫ってするすると前へ進んでいく。
後方はかなりスカスカの状態だったので難なく真ん中付近まで進むことができた。
それにしてもEARTH STAGEは随分デカい。6月の単独ライブの時よりも空間は広く感じた。

 

 

モアイ像

 

きゃりーぱみゅぱみゅのステージが終わると、僕はさらに前へ移動する。
ホール1とホール2の中間、左右2つの大きな柱がある付近に位置を得る。
前に行こうと思えばまだ行けたが、僕はそこに留まった。
このあたりなら強い圧縮は回避できるだろうと踏んだからだ。
ずっと「EARTH STAGE」に張り付いているK山くんの姿を少しばかり探してみたが、
あまりの人の多さに途中で面倒になってそれは諦めた。

 

前方を眺めると、当然ながらBABYMETAL TEEを着た人たちで溢れ返っていた。
大村神の言葉を借りれば、「なんか黒い(笑)」、そのままだ。
だけど僕の周りではフェスTや他のバンドのTシャツを着ている人もいくらか目に付いた。
そしてそれらの多くは若者だった。
いや、そもそもこのフェスに来ているメイト以外のほとんどの観客は若者だったように思う。
さすがは「ロキノン系」のバンドが多く集まっているフェスといったところだろうか。

 

 

モアイ像

 

ステージ上ではサウンドチェックが続いている。
開演15分前くらいに神バンドの面々が登場してくるとあちこちから拍手が沸き起こった。
やはり今日もBOH神をコールする人が多い。
「いいね!」で少し合わせた後、神たちが一旦ステージをハケる。
時間が経つにつれ、じわじわとTシャツが汗ばんでくる。
逸る気持ちに刺激され、ドクドクと鼓動は早くなる。
メイトたちの「BABYMETAL」コールが否応なく気分を高揚させる。
定刻を少し過ぎてから客電が落ちると、館内の至る所から怒号のような歓声が上がった。
刹那、脳のシワからどろりとドーパミンが溢れ出てくるような、そんなスイッチが入る。
この瞬間がどうにも堪らない。
期待に胸がMAXまで高鳴っている。
さあ、今年最後のBABYMETALのライブ。
気持ちよく新年を迎えるため、みなでそれを心ゆくまで満悦しようではないか。
さらなる躍進を遂げた彼女たちの2015年を締めくくる、煌びやかな楽日公演の始まりだ。

 

 

 

2.

セトリ

01 BABYMETAL DEATH
02 ド・キ・ド・キ☆モーニング
03 ギミチョコ!!
04 Catch me if you can
05  新曲 KARATE(仮)
06 イジメ、ダメ、ゼッタイ
07 メギツネ
08 Road of Resistance

 

左右のビジョンにオープニングムービーが流れ始める。
いつもの「METAL RESISTANCE」にまつわる内容のものだ。
おそらく僕の周りの観客の3~4割は初見の人たちなのだろう。
興味津々といったような顔つきで食い入るように画面に見入っていたのが印象的だった。

 

やがてあの凶悪な「BABYMETAL DEATH」のリフが館内中に轟く。
前方を固めているメイトたちがみな、両手でキツネサインを掲げながら「オイ! オイ!」と叫ぶ。
リズムに合わせて一斉に「B! A! B! Y! M! E! T! A! L!」と叫びながら手を上げる。
その後は狂ったように「DEATH! DEATH!」の連呼だ。

 

おそらくBABYMETALを初めて観る人たちの多くは、
メタルとはいえもっと生易しい音楽を想像していたのではないだろうか。
いかにもアイドル然としたあの3人の容姿を見ればそう考えるのがふつうだ。
しかしいざ1曲目が始まると、3人は一切唄うことなく、まるで何かの儀式のように、
観客たちにキツネサインを掲げさせたりジャンプさせたり「DEATH! DEATH!」と叫ばせている。
これまでにもこういった光景は何度も目にしてきてはいるが、
今回の初見の観客たちも、まるで泡を食ったような驚愕の表情でステージを見つめている。
と同時に、ラウドでタイトな音像にもびっくりしている様子だった。
「これが BABYMETAL DEATH!」
彼女たちは堂々と神バンドを従え、初見の人たちに強烈な自己紹介ソングを披露した。

 

僕は時折周りの反応を窺いながらヘドバンを続けていた。
頭を揺らす度にドーパミンが脳全体に広がっていくようで、とても心地良い。
すぐ近くでサークルモッシュが起こっていたが、僕は一瞥しただけでヘドバンを続ける。
この曲は1曲通してヘドバンをし続けているほうが僕にはしっくりくる。

 

館内が異様な興奮に包まれたのち、続いて披露された曲は「ド・キ・ド・キ☆モーニング」。
イントロが流れ始めると、僕はもんどりうって破顔する。
だってそうだろう。このギャップは反則級のインパクトだ。
激しい曲から急転直下、歌メロも踊りも著しくキャッチーな可愛らしい曲へと続くのだから。
「DEATH! DEATH!」のドラムドコドコで出まくった脳内のドーパミンが、
新春キツネ祭りの時と同じように、今回も「Ring Ring Ring!」で耳から噴き出しまくっている。
この2曲を披露しただけで、BABYMETALの多様な楽曲群の振り幅の大きさを示している。
今日は披露されなかったが、それは「悪夢の輪舞曲」と「4の歌」が続いた時にも同じことが言える。

 

続く3曲目は「ギミチョコ!!」だった。
両極端な2曲の後に、彼女たちは自分たちのキラーチューンをぶち込んできた。
会場のテンションが一段も二段も跳ね上がっていくのが手に取るように分かる。
メイト初見の人関係なく、みながみなリズムに乗って体を大きく揺らしている。

 

それにしてもSU-METALの声は今日も好調だ。
元から凄いのだが、彼女はこの1年でさらに化けた。
きれいな張りのある声がホールの最後方まで伸びている。
声量だけをフォーカスしても、既にスタジアム級の会場でも通用するレベルにある。
YUIMETALとMOAMETALも、BABYMETALの魅力の1つ、
キレのあるダンスルーティンで観客たちを大いに魅了している。
神々たちが奏でるラウドながら洗練された音色は、多くの人たちを熱狂に導き、
居ても立ってもいられずに体を揺り動かしてしまうといった衝動を引き起こしている。

 

これまでの3曲で、初見の人たちに存分にBABYMETALの魅力はアピールしているのだが、
それに輪を掛けるように、さらに魅力的な「Catch me if you can」が始まる。
いきなりの藤岡神の高速タッピングに沸くに沸く観客たち。
大村神は今回もサービスで「お正月」の冒頭のフレーズを弾いたのだが、
他の神々たちも同じ「度」でそれを演奏していたようだ。
リズムに乗って頭を揺らしていた僕は、恥ずかしながら彼らのユニゾンには気付かなかった。

 

3人がステージ上で愉しそうにかくれんぼをする。
そんな彼女たちを観続けることができるのなら、僕はずっと鬼でいたってかまわない。
そんなことをふと思いながら、僕は心地よくヘドバンを繰り返す。
サークルモッシュが起こるのはこの曲では定番となっているが、
今回も僕はそれを一瞥しただけで終始ヘッドバンキングに興じた。
この曲もそちらのほうが僕にはしっくりくるからだった。

 

そして大変驚くべきことが、その後に起こる。
彼女たちはなんとここで新曲「KARATE(仮)」を披露したのだ。
イントロが始まると、後方から「この曲は知らない」という声が聞こえてきた。
だから僕は無言でレクチャーするように「セイヤッ、セッセッセッセイヤッ」と掛け声をあげた。
サビではYUIMETALとMOAMETALに合わせて「ウォウォ~ウォウォ~」と声を張り上げる。
しかしそれにしてもこの曲のSU-METALの歌唱は力強くて本当に素晴らしい。
歌詞にも触発され、まさに松岡修造よろしく、体中に熱い感情が渦巻いて心を奮い立たせてくる。
僕は握り拳を高々と掲げて自らを鼓舞せずにはいられない。
間奏の場面、SU-METALが2人を起こし上げ、
3人で身を寄せ合って拳を突き上げるシーンでは危うく涙を零しそうになったが、
僕は奥歯をグッと噛み締めてなんとかそれを堪えた。

 

「ウォウォ~ウォウォ~ウォウォ~」が脳内で勝手にリフレインされ、余韻がまだ大きく残る中、
おもむろに「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の冒頭のナレーションが聞こえてくる。
途端に慣れた様子で大きなサークルを作っていくメイトたち。
それを外から眺めている初見の人たちは、目を丸くして驚きの表情を浮かべていたが、
これから起こることがそうそう体験できない楽しいものであると確信したのだろう、
男女関係なく、どの顔も目はきらきらと輝いていた。
そしてWall of Deathが起こると多くの人たちが笑顔でそれに参加した。
そのままぐるぐると回り始める観客たちがとても楽しそうだったので、
僕はヘドバンを止めると彼らの近くまでいき、
ハイタッチを交わすことで彼らにさらなる喜びを与えようとした。
みながみな、心底楽しんでいるような顔つきをしている。
それはまさにBABYMETALのモッシュでしか起こらないハッピーモシュッシュピットだった。

 

みんなが一斉にダメジャンプを飛ぶ。
「飛べ! 飛べ! 飛べ! 飛べ!」とキツネサインを掲げる。
おそらくは初見の人たちなのだろう、周りの何人かのジャンプは若干ズレていたのだが、
その少しばかり不体裁な行為も、思わずそうしなければならない情動が働いた結果であれば、
それは称賛に値するものだろう。
「音」も「歌」も「ダンス」もこれほどハイクオリティで洗練されていれば、
誰だって否が応にも声援や動作で応えずにはいられない。

 

ダメジャンプの一体感は今日も素晴らしいものであったが、
それを凌ぐことがこの後すぐに起こる。
「メギツネ」だ。
それまでの楽曲で多くの観客が既にデキ上がっていたという側面もあったのだろうが、
「ソレッ! ソレッ!」と全員が手を上げて踊り狂う絵は、涙が出そうなほどに壮観だった。
おそらく今日イチの盛り上がりだったように思う。
古参とか新参とか初見とか、そんなものは関係ない。
そこにいるすべての人たちが同じ感情や価値観を共有している。
「Road of Resistance」が始まる前に、会場全体はいわゆる「TEH ONE」となっていた。

 

そして最後にその「Road of Resistance」が披露されることになるのだが、
歌い出しの冒頭でまったく予期していなかったトラブルが発生したのだった。
その話題は後になってTL上を賑わせたから、多くの人が既に承知していることと思うが、
なんとSU-METALがマイクを持っていなかったのである。
冒頭の「東の空を」だけじゃなく、その後も歌声はまったく聞こえてこない。
僕はヘドバンを止めると、今起こっている状況を把握しようとステージを凝視した。
しかしそこで目にしたものは、僕にさらなる衝撃を与えたのだった。
今でもあの光景は目に焼き付いていて未だ頭から離れていない。

 

SU-METALが、ステージ上で、両手の振り付けでダンスをしている。
マイクを手にしていない光景だけでも珍しいことだから、
それだけで目を見張るほど驚くべきことではあったのだけれど、
動揺をまったく見せずに真剣な表情で前の2人に合わせて同じように踊っているから、
僕の思考は少しばかりそこで歪められてしまった。
「えっ、これって新しいアレンジ? 歌なしバージョン!?」
ついそんな勘違いをしてしまうほど、SU-METALは、
まるでトラブルなど発生していないと言わんばかりに堂々と振る舞っていたのである。
ステージに上がる前、どこまで最悪な状況を想定しているのかは知る由もないが、
その多くは、イヤモニが聞こえない、カウントの音量が小さい、
さらには楽器の音が出ない、音響バランスが悪いといった機材トラブルが主ではないだろうか。
まさかマイクがない状況で曲が始まるとは、本人も想定していなかったことだろう。
それなのに、彼女は、その凛々しい表情をさらに昇華させて黙々と踊り続けていたのである。
それはまさに彼女のプロ意識の高さの表れだった。

 

幼少時よりその歌唱力を認められていたSU-METALが、
これまでに多くのステージを経験してきていることは周知のとおりである。
クリスマスの日にSNSで広がった、ジュディマリをカヴァーした動画は記憶に新しいところだろう。
そしてステージに上がる心構えとして、ステージ上では絶対に泣かない、
会場の広さや観客の数に関係なく、常にベストのパフォーマンスを披露することを教えられてきた。
彼女にそれらを享受したのはMIKIKO先生や和音先生、さくら学院の職員室の先生方だ。
そしてSU-METALは常にそれを守り、今回のトラブルも彼女は冷静にベストな選択をした。
それがあの、観る者にそれがデフォルトと思わせるような、
3人の息が合った、まさに三位一体のダンスパフォーマンスだったのである。
トラブルをトラブルとせず、瞬時に機転を利かせた彼女のプロ意識の素晴らしさ。
本人は、自分の存在価値を示す「歌」を披露できずに相当に悔しかったと思う。
そして観客たちに対して間違いなく申し訳ないと思ったに違いない。
彼女の素の性格を知る者は、それは容易に推し量ることができる。
だけどそういった感情はすべて押し殺して、彼女はひたむきに今やれることに取り組んだ。
僭越ながら宇佐美氏のツイートを引用させて頂くことで彼女には賛辞の拍手を送りたいと思う。

 

モアイ像

 

 

やがてスタッフが袖から現れ、SU-METALにマイクを渡す。
すると彼女は、彼女が持つポテンシャルを遺憾なくそこで発揮した。
鬼気迫るような迫力で、「くじけても 何度でも 心の炎燃やせ」と唄い始める。
それまで自分が置かれていた心境を吐露するように、彼女がその歌詞を熱唱するから、
だから僕の胸を激しく打たれた。
力強いSU-METALの歌唱が響く中、僕は唇を噛みしめて拳を突き上げる。
「It’s the time!」と大声で叫ぶ。
「It’s the time!」とさらに叫ぶ。
「明日の君に歌うよ」 そうだ、もっと僕たちのために唄ってくれ。
「さあ、時は来た」 そうなんだ、まさに今、君たちの時代は来てるんだ!

 

感情が昂ぶった僕は、そこで左に進路を確保すると、
今日初めて、サークルモッシュの輪の中に突っ込んでいった。
どうにも走り出さずにはいられない心境だった。
そして「それが僕らのResistance」とSU-METALが唄い終えた後、
僕はおもむろにサークルのど真ん中に進む。
それからピロピロに合わせてエアギターをかます。
昇天しそうな心地良さが全身を襲った。
その感情を吐き出すように、僕は「Woh Woh」と声を張り上げる。
拳を突き上げ、周りの人たちと一緒くたになっていつまでもsing-alongで熱唱する。

 

曲がクライマックスを迎えると、周りからはさらなる気焔が上がった。
ロニーよろしくSU-METALが「Stand Up & Shout!」と叫ぶ。
僕はYUIMETALとMOAMETALに合わせて「Shout!」とレスポンスする。
今日のライブで一番愉悦を覚えた瞬間だった。

 

やがて曲は終わり、彼女たちが定番の「We are BABYMETAL!」コールで締める。
観客たちの多くが満足げな笑みを浮かべている。
後になって知ったことだが、Wall of Deathに参加していたメイトたちは、
SU-METALの異変にすぐに気づくと、彼女が唄い始めるまでアカペラで合唱していたとのこと。
BABYMETALのファンがいかに献身的であるかを物語っているシーンだ。
そしてBABYMETALを今日初めて観て影響を受けた多くの若者たちは、
近い将来、この献身的なファンベースに加わっていくに違いない。
その確信を胸に、僕はゆっくりとした足取りで後方に下がっていった。
少しでも長く余韻を楽しみたい、その感情が足取りを鈍らせていたことは言うまでもない。

 

 

 

3.

人の波に紛れて出口に向かう。
どの人の顔にも充実感が漂っている。
最後のトラブルは彼女たちのステージを完璧なものとはしなかったが、
逆に彼女たちのプロ意識を再確認した、素晴らしいステージであったように思う。
マイクを手にしてからのSU-METALの怒涛の歌唱はしばらく頭から離れないだろう。
と同時に、リミッターが外れた時の彼女の底なしのポテンシャルを垣間見ることができた。
そういった意味では、違う感情にも浸れ、新たな発見もあった、特別なライブであった。

 

今日のフェスはロッキング・オン・ジャパン社が企画制作のフェスだから、
どのステージもロキノン系の音楽が好きな若者でごった返していた。
そういった若者たちが、BABYMETALを初めて観て衝撃を受け、
メイトへの道を歩み始めるとしたらそれは大変素晴らしいことであり、
チームBABYMETALも、このフェスに参加した意義を大いに感じ取ることができるだろう。
初見だった人からその友人たちへ、彼女たちの噂が瞬く間に伝播していく。
「METAL RESISTANCE」の輪が着々と広がっていく光景を目にすることはいつだって嬉しく思う。

 

そしてもうひとつ、僕は違う意味での「嬉しい」感情に浸ることができた。
HR/HM系バンドのライブは、70年代から80年代にかけて、
若者が持て余しているエネルギーを発散させる場という側面も持っていた。
しかし時代は変わり、そのエネルギーが向けられていた音楽は、
HIPHOPやラップ、EDMといったクラブミュージックへ取って代わっていったように思う。
だけどロック好きな若者はまだこんなにたくさんいるんだということを、
今日のフェスに足を運んだことで僕は身を持って体感した。
ロックはまだまだ死んではいない。
むしろ息吹を吹き返そうとしている。
楽しく踊り続けるティーンの姿を目にするたび、僕はそういった感情を胸に抱いた。
そして彼らが、BABYMETALに触れてより激しい音楽、メタルも聴くようになっていったとしたら、
これほど素晴らしいことはないだろう。
そうなれば、もしかしたらミュージックシーンは今よりも回帰していくかもしれない。

 

そして今日のステージが終わってもなお、いつもより多幸感に包まれているのは、
まだあのときの余韻が残っているからだろう。
それほどあれはBABYMETALのライブ史上、もっとも印象に残った歴史的なステージだった。
ふと目を閉じれば、瞼の裏を、浮遊したゴンドラがゆっくりと横切っていく。

 

思い返してみても横浜アリーナでの単独ライブはやはり凄まじかった。
2週間が経った今でも心に感動が染みついている。
今日のライブもトラブル含め最高だったけど、単独との違いがあるので比較するのは難しい。
フェスでは最高を上書きしたが、単独ライブの最高は圧倒的に横浜アリーナだ。

 

彼女たちが新たなステージ(段階)へ進んだと思える確証を言葉で言い表しなさいと言われれば、
平々凡々たる僕には、それは「すべてをひっくるめて凄みが増した」と形容することしかできない。

 

そしてその圧倒的だったライブを、僕は、横アリレポ②の中でそう記したのだけれど、
あの時はまだ日が浅かったからそれよりも最適な表現が思いつかなかった。
だからそのような形容しかできなかったのだが、月日が流れ、
たとえば半年後あたりにふと回想した際には、僕はこう言い換えるのではないだろうか。
昨年末のあの横アリ2DAYSは“ BABYMETALという音楽のジャンルが確立された日 ”、
いや、“ BABYMETALという音楽のジャンルの「原型」が確立された日 ”であったと。
その日が始点だったと思い直せば後者のほうがよりしっくりくる。
あれを丸ごとパッケージしたものがそうであったと主張できる。

 

もちろん“BABYMETALを音楽のひとつのジャンル”として定義することなんて誰にもできないから、
それはあくまで僕個人の主観に基づく心象である。
だからそれを公言することはないし、もちろん定義するつもりもない。
だけど腑に落ちる他の答えに思索が辿り着かないから僕はそう形容するほかない。

 

もし、仮に誰かが、BABYMETALを初めて聴いてみたときに、
“今まで聴いたことのない変わった音楽だな”といった印象を抱き、
興味が湧いてきたからもう少し聴いてみようと他の曲も聴き、
そして、なぜこの音楽が自分にかなりのインパクトを与えるのか分からないといった
混乱を来たしながらもそのままBABYMETALにハマってしまったとしたらどうだろう。
そういったパターンもそう言えるのではないだろうか。
彼は“ BABYMETALという新しい音楽のジャンル ”の魅力に取り憑かれてしまったのだと。

 

「やっぱりBABYMETALはBABYMETALだよな」
「ああ。BABYMETALはBABYMETALだぜ」

 

いつの日か、メイトたちの間でそんな会話が自然と口から出てくる日がやってくるだろうか。
BABYMETALの楽曲群の背骨が「メタル」であることはみんなわかっている。
それを承知の上で、「BABYMETALはBABYMETALだ」と口々に言う。
それも3人の発言から感化されるのではなく、メイト各々の素の心境から吐き出される。
この先本当にそんな事象が発生したとしたら、それはとても感慨深いものとなるだろう。

 

そしてその横浜アリーナのライブで、後になって気づいたことがあったのだけれど、
新曲「WE ARE TEH ONE」(仮)の冒頭ムービーは初日と2日目で違いがあった。
初日の“ 新たな調べがもたらす奇跡によって、我々はTHE ONE(ひとつ)になるのだ ”は、
“ 最終楽章がもたらす奇跡によって、我々はTHE ONE(ひとつ)になるのだ ”へと変わっていた。

 

新曲「WE ARE TEH ONE」(仮)を“ 最終楽章 ”と形容しているかとから、
やはり「METAL RESISTANCE」は“ EPISODE Ⅳ ”で完結ということなのだろう。
「2016年“ 運命の日 -DOOMSDAY-”ついに世界はひとつ -THE ONE- になる」
予告ムービーの最後でもそのように謳っているからほぼ確定事項なのだろう。

 

 

ホールを出てからK山くんと合流する。
「やっぱりBABYMETALはすごいですね!」
開口一番、彼は嬉々として叫んだ。
「先輩はどうでした?」

 

僕は少し考えてからこう答える。
「ふっと思ったことなんですけど、まあ前から思ってたことなんですけど」

「ん? それで?」

「いつかレッスン着くらいの、めっちゃユルッとした格好で出社したいなと」

「は? なんでそかそれ。全然感想になってないんですけど」

「あれぇ?」

「あれぇ、舌出してぺこり、じゃないですよ。ほんと、気持ち悪い。まったく意味不明です」

 

「だいたいレッスン着ってなんなんですか。なんのレッスンですか」
ぶつぶつ言う後輩を尻目に僕はひとり歩き出す。
それからふと回想し、口元に笑みを湛える。
1年前の伊藤政則氏のメタルゴッドJPなみにあのラジオ番組の内容は素晴らしかった。

 

19日の葉加瀬太郎のJ-WAVEラジオはアーカイブでも繰り返し聴いたのだが、
相手が自分の娘と同世代というのもあったのだろうけど、
話の振り方、相槌、聞き終えた後の感想から大笑いして応えるところまで
すべてが優しくて愛情に溢れていたので、僕は葉加瀬太郎を見直した。
彼はまるで自分の娘の話を楽しく聞いてるような雰囲気を醸し出していた。
番組の性質上、内容も海外での話がメインだったので大変素晴らしかった。
ああいった彼女たちの素の声を聴けるのはいつだって嬉しい。
たとえ姿が映っていないのだとしても。

 

YUIMETAL
「BABYMETALを通じて世界をひとつに。これからもその輪をどんどん広げられたら」

MOAMETAL
「BABYMETALが世界を繋ぐ架け橋になれたらうれしいなと思います」

SU-METAL
「ワールドツアーは新しい自分を見つけられる場所。これからも新しい道を進んでいければ」

 

さくら学院まで食指を伸ばせばBABYMETALのことをより深く知ることができる。
ダンスフォーメーション、ライブパフォーマンスの素晴らしさにすぐに納得がいく。
立ち振る舞いまでが洗練されている理由にも気づく。教育がしっかりしているからだ。
掘り下げれば掘り下げるほど、それに比例して彼女たちへの愛情は益々深くなっていく。

 

だから今回のようなインタビューのちょっとした内容でも、
導線を辿って過去を遡り、発言元の根底に思考が及ぶに至り、
温かくてほっこりした気持ちになる。
「そうだよな。あのときからそういうことは言ってたもんな。ブレないなあ」、
「それについては前はこんなふうに言ってたけど、成長したんだなあ」、
といった具合に感心しながら。

 

BABYMETAL自体を考慮せずとも、
彼女たちを好きでい続けられる理由は案外こういった部分が核だったりする。
話の内容や話し方から謙虚さや礼儀正しさを感じるばかりではなく、
声質やイントネーションだけでも、そこから純朴さや真面目さ、慎ましさが伝わってくる。
今さら言うまでもないが、3人には人間としての魅力がたくさん詰まっているのだ。
だからあまり安っぽい企画の番組への出演には眉を顰めるが、
十日前の葉加瀬太郎のJ-WAVEのラジオのようなしっかりとした番組への露出が増えれば、
その都度メイトたちは幸せを噛み締めることができるのだけれど、
今までそれはあまり叶わなかったから、小さな期待を胸に次なる露出を待ちわびたいと思う。
もしかしたら2ndアルバムの番宣でそれは少なからず叶えられるかもしれない。

 

露出といえば先週末、彼女たちは2年連続でミュージックステーションスーパーライブに出演した。
記憶が正しければ、歌番組はおろかTVの生放送に出たのは昨年の同番組以来、実に1年ぶりだ。
そして今年も放送直後に彼女たちの話題がTL上をいろいろと賑わせたようだけど、
出演することで彼女たちが幸せな気持ちになれたのであればそれだけで僕は十分だった。
カメラがズームしていくにつれ、次第に笑顔へ変わっていったのが印象的だったYUIMETAL。
あのシーンは、彼女たちが幸せな気持ちでいることを如実に表していたように思う。
それから、トークは代表してSU-METALが受け答えをしていたけれど、前述どおり、
彼女の声質と話し方から謙虚さや礼儀正しさ、性格や人柄の良さが存分に伝わってきた。
ライブよりもTVの方がそうなると前々から話していたとおり、若干緊張している面持ちだったが、
ライブのときの凄みとのギャップもまた、彼女が持つたくさんの魅力の中の1つであろう。

 

ちなみに今年も神バンドは当て振りだった。
そして彼らは昨年以上にはっちゃけていた。
その中でも3人のバックに映り込むことの多かった青山神のはしゃぎっぷりは特に目立っていて、
手数の違いだけで当て振りであることは分かる人にはすぐに分かるというのに、
それは本人も承知の上でノリノリで笑って楽しんでいるから、こちらも観ていて笑うほかなかった。
当て振りであることを逆手に取り、最初からとことん楽しむと全員が決め込んでいたのだろう。
超絶テクニックの神々たちがBABYBONEの役割を担う。
そう見方を変えるととても贅沢(比べること自体、神たちには失礼なのだが)な演出だった。

 

 

その後はK山くんの足取りに合わせ、Silent Siren、くるり、LiSAと見て回った。
coldrainを途中まで観たところで、僕たちは会場を後にした。
「あー、楽しかった」
「ですね。ほんと、楽しかったです」
僕たちは共に満足して帰路に着いた。

 

モアイ像

 

 

それから僕たちは一路上野へ向かう。
行き付けのやきとり屋に向かうためだった。
電車に揺られながら、僕はBABYMETALの来年について考える。
予告ムービーでは以下のようなことが語られていた。
そこから少しばかり来年の展開を推測してみよう。

 

 

迫り来る4th IMPACTの衝撃と共に、「メタルレジスタンス第4章」の幕が開ける
4月1日、「FOX DAY」
この日に、BABYMETALはキツネ様から新たなお告げを授かるのだ
4月1日、「FOX DAY」の日に、我々は新たな教典を授かる
そしてその教典がもたらす襲撃(4th IMPACT)は全世界へ同時に広がっていくのだ
4月2日、聖地イギリス「ウェンブリーアリーナ」において
異国史上最大の教典祭「FOX FESTIVAL」に挑戦する
2016年度のワールドツアーは(-聖地巡礼-)
ここ日本で最終公演・史上最大のメタルレジスタンスを行う
選ばれし者・THE ONEが大集結し、奇跡を起こす時が来たのだ
歴史は繰り返される
あの日、あの時、あの場所で
運命の時計の針は動き出したのだ
迫り来る運命の日(-DOOMSDAY-)は、もう誰にも止めることはできない
BABYMETAL WORLD TOUR 2016 TOUR FINAL in JAPAN TOKYO DOME
2016年“ 運命の日 -DOOMSDAY-”ついに世界はひとつ -THE ONE- になる
“ 運命の日 -DOOMSDAY-”はいつやってくるのか?
その答えは4.1 FOX DAY
キツネ様のお告げによって明らかになる

 

 

これを読み解いといていくと、まず、
WORLD TOUR 2016は “2nd ALBUM TOUR” であることがはっきりとわかる。
ご存知の方も多いと思うが、アルバムを「教典」と呼んでいる元ネタは聖飢魔IIで、
教典(アルバム)がもたらす襲撃は全世界へ同時に広がっていくとあるからそうなのだろう。

※ただし聖飢魔IIはシングル曲を「小教典」、アルバムを「大教典」と呼んでいて、
武道館の初日、「赤い夜」の冒頭ムービーに登場したKOBAMETALは、
BABYMETALの1stアルバムのことを「大教典“ BABYMETAL ”」と発言している。

 

そしてその教典を授かる日が「4.1」なのは、
数字を英語で続けて読むことで膝を打つことができる。
フォーワン、for ONE、つまり「ひとつになるために」、ということなのだろう。
またこれは深読みだけど、今回、アルバムを「大教典」と呼ばずに「教典」としたのは、
もしかしたら「小教典」(シングルカット)も検討しているからではないだろうか。
仮にそうだとしたら、対象曲は間違いなく「WE ARE THE ONE(仮)」なのだろうけど、現状、
シングルは出さずにアルバムを続けて出してるので、さすがにこれは考えすぎかもしれない。

 

BABYMETALのWORLD TOUR 2016は4月2日にウェンブリーアリーナから始まる。
サブタイトルに「FOX FESTIVAL」とあるが、その由来はちょっとわからない。
X JAPANも参加したライブイベント「TV Asahi Dream Festival」が唯一思い当たるが、
さすがにこれは「ちょっとチガウ」気がする。
また「-聖地巡礼-」については、果たしてそれは地名なのか施設なのか、それすらわからない。
ただなんとなく6月のGlastonbury Festivalや8月のWacken Open-Airには出そうな気はする。

 ※2016/01/08 追記
仮に「-聖地巡礼-」が、世界各国の「伝統あるフェス」のことを指しているのだとすると、
もしかしたら4月1日、FOX DAYの日に、
Bonnaroo Music and Arts Festival2016(6/9~)、Glastonbury Festival 2016(6/22~)、
FUJI ROCK Festival 2016(7/22~)、Lollapalooza(7/29~)、
Wacken Open-Air 2016(8/4~)、Reading and Leeds Festivals2016(8/26~)
といったフェスへの出演の発表があるかもしれない

 

WORLD TOUR 2016の最終公演は東京ドームと発表されたが、
「選ばれし者・THE ONEが大集結し」とあるので、どれほどの人数かはわからないが、
今回もMOSH’SH PIT(アリーナスタンディング)はTHE ONE会員限定なのだろう。
またTHE ONEの先行予約受付は4月1日、「FOX DAY」から開始されるとのことだけど、
東京ドームが本拠地の巨人がクライマックスシリーズや日本シリーズに進むことを考慮すると、
公演日は早くても11月以降(2016年日本シリーズ第7戦は10月30日)となるのだろう。
そしてそこで、ついに世界はひとつ -THE ONE- となり、フィナーレを迎えることになる。

 

“ 運命の日 -DOOMSDAY-”は、武道館2日目の「黒い夜」のサブタイトルで使用されたが、
この “DOOMSDAY”(「黙示録」や「破滅に向かって」なども)の元ネタも聖飢魔IIである。
解散前の彼らの最後の黒ミサ(3DAYS)、その最終日の「THE DOOMS DAY」からきている。
ちなみに「赤い夜」の“天下一メタル武道会”、幕張の“巨大天下一メタル武道会”の最後、
階段を上って光の中に消えていく演出や、LEGEND “Z”のデジタル時計が「00:00:00」に
なっていく演出も、この聖飢魔IIの「THE DOOMS DAY」の最後を模している。

※もっともLEGEND “Z”では、デジタル時計が巻き戻って白装束姿のBABYMETALが再び現れ、
LEGEND “I”“D”“Z”のストーリーだけで終わらず、先に進んでいく演出が付加されている

 

「“DOOMSDAY”――それはメタルレジスタンスの終焉を告げる鐘の音が
巨大魔方陣により鳴り響く運命の時……
漆黒の闇に燃えるメタルの魂が紅の炎となって全てを焼き尽くす
残された時間は……あと……わずか……」

 

武道館の「黒い夜」LEGEND “DOOMSDAY”の冒頭ナレーションはそうだったが、
東京ドームではいったいどういった内容に変わるのか、今から興味津々である。

 

 

 

モアイ像

 

世界が「THE ONE(ひとつ)」となり、「METAL RESISTANCE」は“ EPISODE Ⅳ ”で完結する。
では、世界が「THE ONE(ひとつ)」となったあと、その後はいったいどうなってしまうのか。
それに関するメイトたちの興味は尽きないと思うが、そのメッセージはやはり、
「E.T.」をオマージュしたこの絵に隠されているのだろう。
どなたかが呟いていたとおり、「E.T.」はキツネ様のイマージュと見立てるのが理にかなっている。
ずばりBABYMETALとキツネ様の別れを暗示しているのではないだろうか。
メタルで世界を再び一つにするため、“ BABYMETAL ”をこの世に召喚したキツネ様は、
「METAL RESISTANCE」が完遂し、世界が「THE ONE(ひとつ)」となり、その役目を終える。
そして「E.T.」が宇宙へ還ったように、キツネ様も HEAVY METAL GALAXY へと還ってゆく。

 

それでは、残されたBABYMETALはその後どうなってしまうのか。
僭越ながら僕の妄想、勝手な憶測に沿って記させていただくと、
「世界中で燃え上がったメタルの魂の炎を消すことなく、それを永遠の輝きとするため、
すべての役目をBABYMETALへ継承する」といったようなお告げを最後にキツネ様から授かり、
晴れてBABYMETALは “自分たちの意思” だけで活動していくことになるのではないだろうか。
さらには、ライブ中はキツネ様が憑依しているといった設定からも解放され、
心機一転、ときにMCを挟みながらのライブに変わっていく可能性も考えられる。
もっとも、せっかくここまで築き上げた様式美や世界観は継続させていきたいだろうから、
仮にそうなったとしてもライブ中にキツネ様に祈りを捧げるようなパフォーマンスは残すだろう。

 

映像を使うのは苦肉の策だったんです。MCなしで曲数も少ないから持たなくて(笑)

 

そもそも、以前に雑誌の取材でそう答えていたように、曲数が多くなった今、
KOBAMETAL自身も紙芝居(ムービー)による「METAL RESISTANCE」の物語を
いつどこのタイミングで終わらせるのかは考えていたのだろう。
3人がより自立して自分たちの思うように自由に活動するためにもそうだし、
さらなる高みを目指していくといった観点から見てもそれは必須だった。
“ Only the FOX GOD knows ”という常套句は、確かに使い勝手のいい言葉である。
答えにくいことをオブラートに包んだり、先の展望を煙に巻くのにも有効活用された。
だけど今後、彼女たちが世界的な一流のアーティストを目指すのであれば、
彼女たち自身の声で受け答えすることも周りからは要求されるはずで、
やはりどこかのタイミングで “キツネ様からのお告げ” は打ち消す必要があった。
いつまでも “私たちはキツネ様のお告げで常に行動しています” ではいかないだろう。
それを続けても小倉優子の “こりん星” のように後々苦しくなっていくだけだと踏んだ。
今はまだ保護者的な立場であるから、必要な部分、とくにメタルの部分は自分が補完するが、
彼女たち全員が大人になれば、今よりも引いた立場にならなければいけない。
そうしなければ、 “キツネ様の意思を汲んでの活動” ではなく “自分たちの意思で活動”、
すなわち彼女たち自身でプロデュースしたリアルなBABYMETALは輝かない。
彼の頭の中にはそんな考えや自覚もあるのではないだろうか。

 

“ 私たちはBABYMETALという新しいジャンルを作るのが目標です ”

 

そして、ワールドツアーを始めてから彼女たちがよく口にするようになったその言葉も、
おそらくは先々を考えたKOBAMETALからの助言なのだろう。
そう言い続けていれば、将来、もっと売れてから海外のインタビューを受けても、
私たちの音楽は“BABYMETALという新しいジャンルです”と返しておけば、
それはその頃には随分と信憑性を伴った台詞へと変わっていってるだろうし、
メタルの知識の乏しさがフォーカスされることはより薄れているだろう。
KOBAMETALは、そこまで見越した上で、海外展開を本格的に考え始めた頃から、
3人にその助言を与えていたように思う。
もっとも国内においても、本稿の少し前で僕の主観による心象で触れたように、
“BABYMETALという新しいジャンル”は浸透させようと算段していたのだろうけど。

 

そうやって彼女たちの自立を促した後、自分がチームBABYMETALを束ねる立場は変わらないが、
楽曲製作のディレクションやワールドツアーのスケジューリングなど裏方の仕事により力を注ぐ。
ただ、彼自身、この紙芝居の物語がこれほどまでの神話性を孕むとは思ってもいなかったはずで、
だから今回のような、「WORLD TOUR 2016」で聖地巡礼をしながら
壮大なフィナーレ(東京ドーム)へ持っていくプランを用意したように思う。
SU-METALも高校を卒業して社会人になるから、今が最良のタイミングだと判断した。
その他諸々を勘案し、「EPISODE Ⅳ」 で「METAL RESISTANCE」を終焉させようと決断した。
ただし、「METAL RESISTANCE」という言葉自体はメイトたちの間に深く浸透し、
シンパシーを感じるほどまでに大きくなっているので、キツネ様が去ってもなお、
最低でもYUIMETALとMOAMETALが高校を卒業するまでは継続されていくような気もするし、
もしかしたら今後もずっと「METAL RESISTANCE」は残っていくのかもしれない。
4th IMPACTのオマージュ、「シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版:||」にちなみ、
「NEO METAL RESISTANCE」といったような名称へと変えながら。

※BABYMETALの演出は、聖飢魔IIやX JAPANからインスパイアされているものが多いが、
エヴァンゲリオンの劇中シーンの謎みたいに、後でみんなで探り合って楽しんでほしいんですよ。
100人居たら100人のBABYMETALがあっていいと思うんです。と語っているとおり、
KOBAMETAL自身が好きだという理由でエヴァンゲリオンネタも若干演出に加味されていて、
セカンドインパクトとサードインパクトはLEGEND “D”の紙芝居の中でネタにされている。

 

もっとも、サプライズ好きなKOBAMETALのことだから、
仮に僕がここまで延々と述べたような展開(キツネ様のみ宇宙に還る)になったとしても、
4月1日、「FOX DAY」の日に、キツネ様からのお告げとして、
「METAL RESISTANCE」は「EPISODE Ⅳ」ですべてが完結し、
BABYMETALはその役目を完全に終える、といった内容しか漏らさず、
また WORLD TOUR 2016 最終公演・東京ドームのサブタイトルも、
「最後の黒い夜 LEGEND “DOOMSDAY” ~封印の儀~」などと銘打ち、
少なからずメイトたちに解散を匂わせてやきもきさせるような気はする。
「最後の黒い夜」はもちろん、X JAPANの解散コンサート「最後の夜」からきている。
「封印」という言葉も、余計にメイトたちにいらぬ心配をさせるだろう。
だけどいざ蓋を開けてみれば、封印されるのは、役目を終えたBABYMETAではなく、
BABYMETALにすべてを引き継いだキツネ様だっというオチで、
この世の世界で封印しなければ HEAVY METAL GALAXY へ還れないといった、
かなり無理やりな設定にメイトたちも失笑・安堵しつつ、
BABYMETALの新たな出発を総員で祝うといったフィナーレ・大円団となるかもしれない。

 

とまあ、いろいろと妄想するのは個々の自由で楽しいのだけれど、
これまでどおり、結局はその日を迎えてみなければ何も判明しない。
BABYMETAL自体は間違いなく今後も活動を続けていくだろうけど、
どういった展開になるのかはそこれそ “Only the FOX GOD knows”。
僕の憶測は全部が全部、的外れだったという結果も当然ながらあり得るし、
そもそも以前と違って、紙芝居(ムービー)自体はライブの進行上の必須ツールとなっているし、
曲間の重要なインターバルの役割も果たしているでの、完全になくなることは想像しにくい。
また、壮大な設定による世界観や様式美が好きなのだし、
今のMCなしのノンストップライブの方がいいのだから、
それをなくすような勝手な妄想をはするなと、
これを読んでいただいた他のメイトの方々から非難されるおそれもある。
そのときはもう、僕はみんなに謝り倒すことしかできないのだけれど。

 

余談だけど、「ララララ~」と唄う新曲について、
タイトルは「THE ONE」だろうという方がいる。
“ 新曲「THE ONE」には世界をひとつにする歌詞が含まれている ”
KOBAMETALも「KERRANG!」にそう話しているから、実際にタイトルはそうなのかもしれない。
だけどそれでもなお、僕は新曲のタイトルは「WE ARE THE ONE」ではないかと思っている。
それは “WE ARE THE ONE” と唄っているからというのもあるが、理由は別のところにもある。

 

昨年の11月8日に「Road of Resistance」がロンドンで初披露された当初、
メイトたちの間では、タイトル名は「THE ONE」として認知されていった。
しかし実際には違っていた。公式に発表された曲名は「Road of Resistance」。
歌詞は「THE ONE」になるのを目指し、自分たちを信じ、道なき道を進むといったものだった。

 

では今度の新曲はどうだろう。
僕の見立てでは、「Road of Resistance」で道なき道を進んだ結果、
我々は一つになった。つまり、「WE ARE THE ONE」、なんだろうと思う。
「Road of Resistance」は世界規模の「METAL RESISTANCE」の始まり、
つまり「THE ONE」になるための「幕開け・始動」を歌った曲で、
「WE ARE THE ONE」は、「THE ONE」へと導かれた「結果」を賛美した曲。
「Road of Resistance」の英語版ムービーの最後にも、
「All for ONE」「ONE for All」「We are the ONE」とあるから、
やはり新曲のタイトルは「WE ARE THE ONE」ではないだろうかと個人的には思っている。
でも実際には違っていてタイトルが「THE ONE」だったらとしたら――。
そうなったら僕はもう、みんなに土下座することしかできないのだけれど。

 

ついでにいうと、もしかしたら「Road of Resistance」が披露された時点で、
日本で「METAL RESISTANCE」を完結させることは想定していたのかもしれない。
それはなぜかというと、「Road of Resistance」の冒頭の歌詞にヒントが隠されている。

 

 

東の空を 真っ赤に染める 狼煙(のろし)の光が
孤独の闇の 終わりを告げる 新たな道標(みちしるべ)
くじけても 何度でも 心の炎燃やせ

 

 

ここでまた自分勝手に歌詞を解釈して大変申し訳ないのだけれど、
僕が思うに、東の空は「日本」、
真っ赤に染める狼煙(のろし)の光は「METAL RESISTANCE」、
孤独の闇は「メタルが隆盛を極めていた頃に思いを馳せては廃れた現状を嘆くメタラーの心情」、
終わりを告げるはそのままで、新たな道標(みちしるべ)は「BABYMETAL」なんだと思う。
そして僕が解釈した歌詞を簡潔に並べ替えると、ニュアンスはこうなる。

 

 

日本のBABYMETALがメタルの再隆盛を成そうと「METAL RESISTANCE」を始めたから、
世界中のメタラーたちはぐちぐち言わず、メタルの新たな旗頭であるBABYMETALに黙って続け。
「METAL RESISTANCE」の道は険しくて何度も心が折れそうになるが、その都度奮い立て。

 

 

そして話を本題に戻すと、このように「METAL RESISTANCE」は日本で始めたのだから、
世界を巡ってそれを終えるのもやはり日本しかないだろうと、
「Road of Resistance」の歌詞を作った時から決めていたのかもしれない。

 

“ 真っ赤に燃えるメタルの魂は、紅炎を放ちながら大きな「Rising Sun」を描き、
魂の叫びが「Wow Wow」と鋼鉄の調べを奏でるとき、我々は一つになる。
みんなは一人のために、一人はみんなのために、一つになるために ”

 

そう考えると、日本語版ムービーの中で触れている「Rising Sun」も、
「THE ONE」の最終地が「日本」であることを示唆しているように考えられなくもない。
でもやはり、「Rising Sun」=日本、とするのはかなりのこじつけだろう。
ここでいう「Rising Sun」は、WODのサークルを日の丸に見立てているだけのこと。
さすがにこれは深読みしすぎだろうと自分でも思うが、
「WE ARE THE ONE」(仮)自体は、この時点で曲の構想はできていたのだろうとは思う。
「THE ONE」という言葉を使い始めたときから、「THE ONE」になったときの曲はいるだろうと。

 

 

長いこと物思いに耽っていると、いつの間にやら上野駅に到着していた。
店まで少し歩き、しかも満席だったため店の外で20分ほど待つ。
ようやく席が空いたので、僕とK山くんは白い息を吐きながら店内に入る。
Uの字型のカウンター席の端っこに並んで座る。

 

僕たちが真っ先に注文したのは手羽先だった。
サイドメニューはたくさんあるが、やはり手羽先、それも手羽明太は外せない。
手羽先の中に明太子がぎっしりと詰まった代物。大好物の一品だ。
タラコだけに僕の心中はおいしくいタラコうという気持ちでいっぱいだった。

 

ちなみに韓国ではタラコの取れるスケトウダラを「明太(ミョンテ)」と呼ぶ。
日本はこれを「メンタイ」と呼び、タラコはその明太の子なのでそのまま明太子となった。
地元の福岡にいる頃、明太子の老舗に勤める知り合いから聞いた話ので間違いない。
メンタイコだけにその名の由来には僕がタイコバンを押す。

 

モアイ像

※中につぶつぶの明太子がぎっしり入っている

 

 

 

「やっぱりここの手羽先は美味しいですね!」
「ああ、最高だ」

 

手羽明太をたいらげ、骨までしゃぶると
僕の心はとてつもない幸福感で充たされた。
麻薬は骨の髄までしゃぶられるほどの快楽があるそうだが、
もしかしたらそれと似たような心境だったのかもしれない。
それだけピリリと辛い手羽明太の味は僕の骨身に染みた。

 

このまま骨になってもいいほどの幸せな気分だった。
寒い中、ここまで足を運んだことは決して骨折り損ではなかった。
帰りにここに寄ったことがいい骨休みになったことは間違いない。
僕は極上の手羽明太の味に骨抜きにされていた。

 

先ほどから骨骨しつこいと思われるかもしれないが、
そんな批判も、僕のBIO記事を書くモチベーションに繋がっている。
ネタがしつこい、レポが長すぎると言われると、逆に意地になってしまうのだ。
賞賛も批判も、すべては骨太なプロットへと変わる。

 

 

(まだまだいくよっ!)

 

 

お腹を満たすと、それから話題は、来年のアルバムの話になった。
約2年振りに発売されるBABYMETALの2nd ALBUM。
今から待ち遠しくて仕方がない。

 

 

ゆよゆっぺ(「悪夢の輪舞曲」)や上田剛士(「ギミチョコ!!」「あわだまフィーバー」)、
NARASAKI(「ヘドバンギャー!!」「Catch me if you can」)などは違うのだろうけど、
BABYMETALの楽曲、特に初期の楽曲は基本的にマッシュアップ的な技法で作られている。
集まってきた楽曲からAメロ、Bメロ、サビなどを別々に取り出してミックスしている。
数曲の作曲クレジット表記に複数の名が記されているのはそのせいだ。
そのことはKOBAMETAL自身が言及しているので知っているメイトの方も多いと思う。

 

ついでにいうと彼は、ライブでの観客の反応をゴールに、そこから逆算してコンセプトを作り、
歌詞・曲調・振り付け・リアクションなどが想定できてから作曲家に発注している。
「神が降りてくるような」とか「召喚されるような」といったイメージを注釈しながら。
慎重になり過ぎるくらい、彼は1曲1曲を丁寧に作り上げていっているのだ。
そのことはメギツネのデモ音源を36回作り直したという逸話からも窺い知ることができる。
ちなみにその作業を担ったゆよゆっぺのパソコンは詰めすぎてぶっ壊れたらしい。

 

そして彼は、「色々詳しくて話が合うんです(笑)」  と発言しているとおり、
eversetというよりゴールデンボンバーの中の人として知られるtatsuoに
今でもアレンジは相談しているようだ。
横アリ2日目のあと、実際に氏からはこんなツイートがあった。

 

モアイ像

 

 

BABYMETALの1stアルバム、“ BABYMETAL ”の中で、
[編曲:tatsuo、KxBxMETAL]のクレジット表記は「おねだり大作戦」「4の歌」のみだが、
他のマッシュアップで作った曲についても意見してもらっているのかもしれない。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」や「紅月」の作曲を手掛けたTSUBOMETALは、
ひょっとしてこのtatsuo氏ではないのかなと勘繰っていた頃もあったけど、
tatsuo氏自身がHPでBABYMETALに携わったのは2013年からと記しているので違うのだろう。

 

そして4月に発売されるNEW ALBUMも、こういった枠組み・技法が用いられているのだろう。
1曲ごとの製作に時間をかけ、何度もアレンジを試み、細部までとことん突き詰めていく。
今回のALBUMもtatsuo氏をはじめ、ゆよゆっぺ、教頭先生(KYT-METAL)等がアレンジを担当し、
音数が半端ない、珠玉揃いの極上の作品に仕上がるに違いない。
そして1stアルバム同様、メタルの名盤のオマージュはそこかしこに散りばめられるだろうから、
ルーツを辿ったり元ネタを探したりといった楽しみも継続されるのだろう。

 

 

各ジャンルでメタルの世界観が異なるため、
バンド形式の場合は音楽性を変えることが容易ではない。
その点、BABYMETALはアイドルからメタルへアプローチしているため、
バリエーション豊かな展開ができる。

 

 

KOBAMETALが指摘するように、メタルのサブジャンルを網羅してミックスしているから、
音楽を聴くだけでもいろいろな楽しみ方ができる。
いわゆる様式美的なメタルやメタルコア・ラウドミュージック的なものに加え、
スカを取り入れるなど新たな試みも行っている。
KOBAMETALの頭の中にはまだまだたくさんのアイデアがあるのだろう。
彼はメタル以外の音楽、現代のミュージックシーンにも広く精通している。
そして彼の脇を固める楽曲製作陣(クリエイター)には、前述した以外にも
強力なメンバーが揃っているのだが、その中には元バンドマンや現役バンドマンの方も多い。
もしかしたら彼らの中には、「自分が果たせなかった海外進出・海外展開の夢」を
BABYMETALに託す思いで楽曲製作に取り組んでいる方もいるかもしれない。

 

今のところ、スタジオ盤「2nd ALBUM」に収録されることが決まっているのは、
「Road of Resistance」、「あわだまフィーバー」、「チガウ(仮)」、
「KARATE(仮)」、「WE ARE THE ONE(仮)」の5曲。
これに7曲ほどが追加されてリリースされるのだろう。

 

またこのアルバム1枚にストーリー性を持たせるのであれば、
「METAL RESISTANCE」の狼煙を上げる曲である「Road of Resistance」が1曲目で、
「チガウ(仮)」や「あわだまフィーバー」あたりが2曲目、3曲目と続き、
「THE ONE」となったことを賛美した曲「WE ARE THE ONE(仮)」がラストに配置されるだろう。
そして「KARATE(仮)」は、おそらくちょうど真ん中あたりに収まるのではないだろうか。
僕にはそう思えてならない。

 

“ 涙零れても立ち向かってゆこうぜ ”
“ 心折られても立ち向かってゆこうぜ ”

 

なぜなら横アリレポ①で触れたとおり、
この新曲「KARATE(仮)」は、「METAL RESISTANCE」を続ける過程において、
たとえ倒れても何度も立ち上がって戦い続けていく、
自分たち(メイトたち含む)を鼓舞する曲であるように思うから。
だから真ん中に配置するのが一番しっくりくるような気がする。
そしてこの2nd ALBUMのタイトルは、
ナンバリングで「BABYMETAL2」ではないかといった意見もあるようだが、
僕はそれこそ「THE ONE」ではないかと思っている次第である。

※その考えが、新曲のタイトルは「WE ARE THE ONE(仮)」だろうという側面にもなっている

 

 

 

リリースが少ないのはやっぱり捨て曲を作りたくないので。
僕はライブのことしか考えてないんですよ。
常に新しい曲がポンポン出ていくっていうよりは、
どっちかっていうとミュージカルの演目みたいな感じで。
曲は一緒なんだけど、セットとか演出がちょっと変わっててみたいなイメージなんですよね。
定番の10曲とかで延々とそれをロングランでやってるほうがいいんじゃないかなって。
結果的に、ミュージカルBABYMETALのサウンドトラックCDみたいなもので、
あれ1枚持ってればライブが楽しめるっていう。

 

 

そしてKOBAMETALの言葉を借りれば、国内外問わず2016年のライブは、
この2nd ALBUMを中心としたラインナップでミュージカル公演のように展開していくのだろう。
1stアルバムの曲が幾分削られるのは残念だが、彼女たちが前へ進んでいくには必要なこと。
僕たちメイトはそれを甘受し、チームBABYMETALについて行くほか選択肢はない。

 

そして「NO RAIN, NO RAINBOW」は、やはり今回も収録されることはないように思う。
「紅月」はX JAPANの「紅」もしくは「Silent Jealousy」のオマージュ、
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、曲調やHIDEの定番の掛け声「飛べ、飛べ、飛べ、飛べ」から
「X」のオマージュだろう(※オマージュとされる曲は他にもある)といった話は
これまでメイトたちの間で頻繁に語られてきたが、「NO RAIN, NO RAINBOW」は、
「ENDLESS RAIN」のオマージュどころかあまりにも似すぎている。
僕は今でも「ENDLESS RAIN」のイントロを聴いていざ歌い出そうとすると、
「I´m walking in the rain」ではなく、間違えて「どうして眠れないの」と歌ってしまう。
それほど酷似しているから、やはりスタジオ盤には収録されないのではないだろうか。
個人的には、CD音源が欲しいから収録してもらいたいとは思っているのだけれど。

※ちなみに「NO RAIN, NO RAINBOW」の作曲・共同作詞は小内喜文

 

 

すでにアメリカ東海岸のツアー日程を発表し、話題に事欠かないBABYMETAL。
そのBABYMETALについて論じる際、盲目になったら本末転倒な話だから、
僕は主観が強く出過ぎないように、なるべく一歩引いて見るようにしているのだけれど、
それでも、レディングレポの結の部で記させていただいた、
「この状況はもう、イギリスが、国全体が、
両手を広げてBABYMETALを歓迎していると言っても過言ではないだろう」と思えるようなことが、
かなり早い段階でアメリカでも起こるような気がしている。
その予感が現実のものとなるまで、僕は具に状況を見守っていく次第である。

 

話題といえば、他にも、YOSHIKIや葉加瀬太郎とコラボするのでは、といった話もある。
たとえば来年の東京ドームで、その2つがともに実現されたとしたらどうだろう。
YOSHIKIが弾くピアノに乗せてSU-METALが「紅月 unfinished version」を独唱する。
そして「WE ARE THE ONE(仮)」は、BABYMETAL with オーケストラとして披露され、
葉加瀬太郎が3人と同じステージでバイオリンを情熱的に弾く。
そんな想像に思いを馳せるだけで心が躍る。
それがどれほどの感動を呼び起こすのか、想像がつかない。
僕は頬杖を突き、にやにやしながら再び妄想に耽った。
しかし急にハッと我に返る。
僕をそうさせたのは、自分に向けられたK山くんの尖った声だった。

 

「もう! 先輩、人の分まで食べないでくださいよ!」

 

言われてはたと気が付いた。
僕は、K山くんが追加注文していた手羽先に無意識に箸を伸ばし、
彼には何の断りもなく勝手にそれを食べていたのだった。
僕は慌てて「ああ、ごめんごめん」と平謝りした。

 

しかしK山くんの機嫌は直らず、彼は大きく「はああ」と溜息を吐くと、
「やっぱり先輩はジャイアンだ」と眉間を寄せて言葉を吐き捨てたのだった。
「おまえのものは俺のもの。俺のものは俺のもの。あんたはジャイアンそのものだ。最低」

 

一旦は腰を低くしたものの、後輩のこの発言に僕は再び怒りを覚える。
だいたい彼は、ふだんから先輩に対する敬意が欠けている。
いつもすぐ調子の乗る。
頭に血がのぼった僕は、再び心の中で呪詛を吐いた。

 

ぐぬぬ……、言うに事欠いてまたジャイアンのようだとぉ!?
いったい僕のどこがジャイアンっていうのさ。全然違うじゃないか。
それなのに2度もジャイアン呼ばわりしやがって。
だいたい先輩に対してなんでタメ口なんだよ。
K山のくせに生意気だぞ!

 

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